桒原 宏貴

インタビュー

深く手応えのある看護を目指して。
チーム全体のケアの質を向上させる専門看護師

専門看護師

桒原 宏貴 Kuwabara Hiroki

日本赤十字社和歌山医療センター

がん看護専門看護師として、現在どのようなお仕事をされていますか?

普段は、緩和ケアセンターの看護師長として、病棟の管理業務や入院中の患者さんの緩和ケアの提供に携わっています。それと並行して、週に一度「がん看護外来」を担当し、通院中の患者さんやご家族の相談に乗るなど、直接的なケアも続けています。専門看護師の役割は、患者さんへのケアだけでなく、現場の看護師からの相談に応じたり、多職種間の意見を調整したりと多岐にわたりますが、それらの役割を通して、施設全体のがん医療・看護の質を向上させることを目指しています。

なぜ、専門看護師の資格を取ろうと思われたのですか?

きっかけは複数あります。若い頃に叔母をがんで亡くした経験から「がんになっても希望はあるのだろうか」と問い続けていたこと。そして、20代の若いがん患者さんを受け持った際に、自分の無力さを痛感したこと。そんな経験の中で、上司から「専門看護師を目指してみないか」と声をかけていただき「もっと深く学びたい」と大学院へ進学することを決意しました。

専門看護師の資格を取得して、ご自身の中で何が一番変わりましたか?

患者さんを捉える「視点」が変わりました。専門的に学んだことで、目の前の現象を「ただなんとなく」捉えるのではなく、理論に基づいて「なぜこうなっているのか」を根拠を持って説明できるようになりました。病状だけでなく、その方の闘病体験や人生・価値観・社会背景まで含めて、より広く、深く、統合的にアセスメントできるようになりました。その視点を患者さんへの直接ケアだけでなく、現場のスタッフと共有することで、チーム全体のケアの質を向上させることに、自分の役割があると感じています。

お仕事をする上で、一番大切にしていることは何ですか?

がんになっても、その人の人生が意味のあるものであり続けるよう、支援することです。限られた時間の中だったとしても、「生きていてよかった」と思えるような体験になるよう、患者さんに真摯に、一生懸命コミットすることを大切にしています。かつて「もう生きてても意味がない」と話されていた方が、関わりを続ける中で「病気になって、人のありがたさが分かった、そう気付けたことがうれしい」と語ってくれた時、この仕事の意義を改めて感じました。

これから、どんなことに挑戦していきたいですか?

これまでは病院内での活動が中心でしたが、これからは、和歌山県全体のがん患者さんとご家族のQOL向上に貢献できるよう、自分の役割を拡げていきたいです。私たちの病院には、専門看護師や認定看護師を地域の訪問看護ステーションなどへ派遣する事業があります。そうした活動をもっと活発にし、病院の垣根を越えて、地域のがん看護の質向上に貢献していくのが、これからの目標です。

最後に、専門看護師を目指す後輩へメッセージをお願いします。

専門看護師になると、患者さんの見え方が変わり、看護という仕事がもっと楽しくなります。それは間違いありません。和歌山県内にも、働きながら専門看護師を目指せる大学院のコースがあります。もし少しでも興味があるなら、ぜひ挑戦してほしい。その先には、今よりもっと深くやりがいのある看護の世界が待っています。

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