榎本 友希

インタビュー

「つながって、つなぐ」ハブのような存在に。
暮らしに寄り添う看護がここにある

へき地診療所(看護師)

榎本 友希 Enomoto Yuki

紀美野町国民健康保険国吉・長谷毛原診療所

どんなお仕事をされていますか?

紀美野町にある2つの診療所を曜日ごとに兼務しています。午前は外来、午後は患者さんのお宅に伺う訪問診療が毎日の基本的な流れです。担当する患者さんは幅広く、赤ちゃんの予防接種から100歳を超えるご高齢の方まで、地域全体の健康を医師やスタッフと共に見守っています。また、地域柄、近くに薬局がないため、看護師が薬の調剤や在庫管理を担うのも、ここの特徴の一つです。

へき地診療所の看護師として働くきっかけは何ですか?

大学卒業後は、大学病院の循環器内科で働いていました。そこでは心不全などで入退院を繰り返す患者さんが多く、「退院した後、お家でどんな生活をしているんだろう」「何が原因で、また戻ってこられるんだろう」と、患者さんの暮らしそのものに興味が湧いてきたんです。一度結婚を機に退職したのですが、祖母の住む紀美野町を訪れた際、たまたま広報誌で診療所の看護師募集を見つけて。「ここなら、もっと地域や人の暮らしに触れられる看護ができるかもしれない」と思い、応募したのが始まりです。

病院勤務と比べて、大変なことは何ですか?

患者さんの「暮らしの場」に医療者として入らせてもらい、長い時間をかけて信頼関係を築いていけることです。一人ひとりの生き方や大切にしていることを知り、その上で医療として何ができるかを一緒に考えていく。その関わり方が、病院とは全く違います。特に、ご自宅で最期を迎えたいという方の終末期医療に携われるのは、大きな経験です。その方の生き様やご家族の思いに触れ、看護師としてだけでなく、一人の人間として多くのことを学ばせていただいています。

忘れられないエピソードがあれば教えてください。

在宅で患者さんをお看取りさせていただくこともあります。最期の時までその人らしく生き抜く姿と、それを見守るご家族の姿は、いつも心揺さぶられます。どんなケースでも「もっと何かできたのでは」という思いは残りますが、少し時間が経ってからご家族を訪問すると、「心強かったよ」と言っていただけることがあるんです。その言葉に救われますし、ご家族から伺うお話の一つひとつが、次の患者さんへのケアに繋がっていく。この地域で働き続けたい、という気持ちが強くなる瞬間です。

仕事で大切にしていることは何ですか?

「つながること」と、そこから「つなぐこと」です。一人暮らしの方や、ご高齢の方を一人で介護されている方も多いので、「何か困ったことがあったら、医療のことではなくても、まず診療所に相談してね」といつも伝えています。私たちがすべてを解決できるわけではありませんが、まずお話を受け止める「最初の受け取り手」でありたい。そこから、ケアマネージャーさんや保健師さん、訪問看護さんなど、その方に一番必要な専門職へ橋渡しをする。診療所が、地域と人、人と人とをつなぐ「ハブ」のような存在になれたらと思っています。

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