インタビュー
喜びの涙にも、悲しみの涙にも寄り添う。
命の始まりと人生に向き合う
助産師
池澤 亜美 Ikezawa Ami
紀南病院
助産師を目指されたきっかけを教えてください。
小学生の頃、小児喘息でよく病院に通っていました。点滴が嫌で泣いている私に、看護師さんがキャラクターの絵を描いて励ましてくれた。その優しさに憧れて、自然と看護師を目指すようになりました。助産師という仕事を初めて知ったのは、看護学校の母性看護実習です。知識も技術も豊富で、お母さんと赤ちゃんに寄り添う姿がすごく格好良く見えたんです。実習でお産を見学させてもらった時の衝撃は今も忘れられません。新しい命が生まれる瞬間の感動と、それを取り巻くご家族の温かい雰囲気に触れて、「こんな素敵な場所に立ち会える仕事がしたい」と強く思い、助産師の道へ進むことを決めました。
現在の主な仕事内容を教えていただけますか?
外来と病棟の両方で働いています。外来では、妊婦健診の保健指導や、助産師外来で超音波検査を担当し、妊娠中の早い段階からお母さんたちと顔の見える関係を築くことを大切にしています。病棟では、お産の介助はもちろん、産後のケアや、婦人科の手術を受ける方、終末期の方など、幅広い患者さんの看護も行っています。
助産師の仕事の中で、一番やりがいを感じるのはどんな時ですか?
やはり、お産のサポートをしている時が一番好きですね。無事に新しい命が誕生し、お母さんと赤ちゃん、ご家族みんなが笑顔で退院していく時に、「おめでとうございます」と言って見送れること。それが何よりのやりがいです。安全な経過を第一に、医療の介入を最小限にできるよう、骨盤ケアや体操を取り入れながら、一人ひとりのお産に寄り添っています。
忘れられないエピソードはありますか?
悲しいお産に立ち会うこともあります。以前、お腹の中で赤ちゃんが亡くなった方のお産を担当した時、その妊婦さんは辛さのあまり表情を失っているように見えました。亡くなった赤ちゃんの沐浴をしたり、手形や足形を一緒に取ったりしていた時、私はプロだからと必死でこらえていたのに、たまらず涙があふれてしまったんです。でも後日、妊婦さんのお母様から「あなたが泣いてくれたことが、娘の救いになりました」と涙ながらに言われ、ご本人からもお手紙をいただきました。「またここで産みたいです」と。辛い経験でしたが、ただ寄り添い、感情を共有することが、ご家族の力になれるのかもしれないと知った時、この仕事の尊さを改めて感じました。
助産師として、一番大切にしていることは何ですか?
どんな時も、お母さんやご家族の気持ちに「寄り添う」こと。それに尽きると思います。喜びの瞬間も、悲しみの瞬間も、その方にとっては人生の大切なワンシーン。そのどちらにも、同じように真摯に向き合う姿勢が大切だと感じています。
1日のスケジュールはどのような感じですか?
日勤の場合、朝8時半に出勤し、夜勤スタッフからの申し送りを受けます。午前中は、受け持ちの患者さんのケアや、産後のお母さんへの授乳指導など。お昼休憩を挟んで、午後からは妊婦健診や、産後2週間健診、1ヶ月健診などを担当します。その間にもお産があれば、チームで協力しながら対応します。夕方に日勤の業務を終え、夜勤スタッフに業務を引き継いで、一日が終わります。
これから助産師を目指す方へ、メッセージをお願いします。
助産師は、生命の誕生という人生の始まりから、時には人生の最期まで、人の一生に深く寄り添うことができる、本当に価値ある仕事です。私自身、この仕事が務まるか不安でしたが、学校の先生の「やってみないと分からないじゃない」という言葉に背中を押されました。もし迷っているなら、その気持ちを大切に、まずは一歩踏み出してみてほしいです。