道上 真輝

インタビュー

心の声に、じっと耳を澄ます。
精神科看護という深く温かい関わり

看護師

道上 真輝 Michiue Masaki

紀の川病院

看護の道へ進んだ理由と、その中で精神科を選んだ理由を教えてください。

高校時代の職場体験で、退院される患者さんが看護師さんに「ありがとう」と心からの感謝を伝えている姿を見て、「やりがいのある仕事だな」と感じたのがきっかけです。看護師になって最初の1年半は整形外科で働いていましたが、友人から「人の話を聞くのが上手だよね」と言われたことを思い出し、精神的に辛い方の力になれるかもしれない、と精神科へ移ることを決めました。

精神科の看護師は、具体的にどんなお仕事をされていますか?

一般的な病院と同じく、お薬の管理やバイタルチェックといった身体面につながる看護業務も行いますが、患者さんと一緒に散歩をしたり、レクリエーションをしたり、そうした密な関わりを通して、心の回復をサポートするのも私たちの大きな役割です。一番大切なのは、患者さんのお話に耳を傾けることです。症状が辛い時、その気持ちを言葉にして吐き出してもらうことで、心が少し楽になる方もいらっしゃいます。

患者さんの心の声に、どのように寄り添っていくのですか?

無理に聞き出すことはせず、日々の関わりの中で、ふとした表情の変化や態度の違いに気づくことが大切です。「いつもと違う」と感じたら、「何かありましたか?」と声をかけ、ご本人が話したくなさそうであれば、無理強いはしません。もし話したい様子であれば、他の人のいない診察室など、安心して話せる環境を整えます。患者さんが医師には直接言いにくい治療方針への希望などを、私たちが聞いて伝えることもあります。

仕事の難しさや、工夫していることはありますか?

病棟では多くの患者さんが共同生活を送っています。「あの人は良くて、私はダメ」といった不公平感が生まれないよう、関わり方のルールをスタッフ間で統一することを大切にしています。また、安全を守るため、持ち物の管理も重要な仕事です。ひも類やハサミなどの危険物は、ご本人やご家族に説明した上で、持ち込みをご遠慮いただいています。

精神科看護師の「やりがい」は、どんなところに感じますか?

対話や関わりを重ねる中で、少しずつ症状が改善し、患者さんが笑顔でご自宅や施設に戻っていく姿を見届けられた時が、一番嬉しいです。目に見えて怪我が治るのとは違って、心の回復という波のある道のりに伴走できること、そして、その過程で、深く一人の人間として患者さんと関われることが、この仕事の一番の魅力だと感じています。

これから看護師を目指す方へ、メッセージをお願いします。

実習は大変だと思いますが、学生時代に学んだ知識や経験は、現場で必ず活きてきます。特に精神科は、教科書通りにはいかないことばかり。だからこそ、実習で一人ひとりの患者さんと向き合った経験が、何よりの学びになります。時には必要以上に介入しすぎず、その人の力を信じて見守ることも大切です。「自分が辛い時にどうしてほしいか」を考えながら、患者さんに寄り添い、頑張ってほしいです。

精神科看護師のある一日

8:45~

夜勤スタッフからの申し送り。「〇〇さんは昨晩眠れていなかったので、日中こまめに声をかけよう」など、情報をチームで共有します。

午前

バイタル測定や症状の観察をしながら、患者さん一人ひとりとコミュニケーション。リハビリの一環である作業療法(OT)へ患者さんを送り出したり、点滴やオムツ交換などのケアも行います。

昼食の配膳や食事の介助。傾眠傾向の方は、特に誤嚥のリスクがないか注意深く見守ります。食事の量は、心の状態を知る大切なサインです。

午後

医師の回診に合わせて、日中の患者さんの様子を報告し、指示を受けます。新しい入院患者さんのお迎えや、外出・外泊から戻った方の持ち物チェックも、安全管理のための重要な業務です。

夕方

夜間に不安が強まりそうな患者さんの情報などを夜勤スタッフへ丁寧に引き継ぎ、業務終了です。

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